1.建設業とは


建設業とは、建設業法により定められています。

 

この法律は、建設業を営む者の資質の向上、建設工事請負契約契約の適正化等を図ることによって、建設工事の適正な施工を確保し、発注者を保護するとともに、建設業の健全な発達を促進し、もって公共の福祉の増進に寄与することを目的としています。(建設業法 総則より)

 

この目的を果たすために、具体的には、

建設業を営もうとする者は、500万円以上(建築一式工事にあっては1500万円以上)の建設工事を請負う場合、建設業の許可を受けなければなりません。

 

2. 許可の区分


大臣許可と知事許可

  1. 一の都道府県の区域内のみに営業所を設けて営業しようとする場合、都道府県知事の許可となります。
  2. 二以上の都道府県の区域内に営業所を設けて営業しようとする場合、国土交通大臣の許可となります。

一般建設業と特定建設業

  1. 発注者から直接請負った一件の工事代金について、4000万円(建築工事業の場合は、6000万円)以上となる下請契約を締結する場合、特定建設業許可が必要となります。
  2. 上記以外の場合、一般建設業許可で可能です。

3.許可が必要な業種


建設業の許可は、下記の29の業種ごとに行われ、営業する業種ごとに取得する必要があります。また、同時に二つ以上の業種の許可を受けることができ、現有の許可業種に追加することもできます。ある業種の許可を受けた場合でも、他の業種の工事を請負うことは、その業種の許可も受けていない限り禁じられます。

4.許可要件の概要


建設業の許可を得るためには、次の(1)〜(4)の要件を満たすことが必要です。

(1)経営管理者の設置

許可を受けようとする者が、法人である場合には常勤の役員のうちの一人が、また、個人である場合には本人又は支配人の内一人が、つぎのいずれかに該当することが必要です。

  • 許可を受けようとする建設業に関し、5年以上経営業務の管理責任者としての経験を有していること。
  • 許可を受けようとする建設業以外の建設業に関し、7年以上経営業務の管理責任者としての経験を有していること。
  • 許可を受けようとする建設業に関し、経営業務の管理責任に準ずる地位にあり、一定の経験を有していること。

 

(2)専任技術者の設置

許可を受けて建設業を営もうとするすべての営業所ごとに、一定の資格・実務経験を有する専任の技術者を置くことが必要です。

 

①一般建設業の許可を受ける場合

  • 許可を受けようとする建設業に係る建設工事に関し、国土交通省令で定める学科を修めて高校を卒業した後5年以上の実務経験を有する者、又は同様に大学を卒業した後3年以上実務経験を有する者
  • 許可を受けようとする建設業に係る建設工事に関し、10年以上の実務経験を有する者
  • 許可業種に応じ、「施工管理技術士」の合格証明書、「建築士」の免許証、「技術史」の登録証、該当する「技能検定」の合格証書を有する者

②特定建設業の許可を受ける場合

  • 許可業種に応じ、国土交通大臣が定めるもののに合格した者
  • 一般建設業の要件に該当する者のうち、4500万円以上の元請工事に関し2年以上指導監督的な実務の経験を有する者

(3)財産的基礎

①一般建設業の許可を受ける場合、次のいずれか

 に該当する事が必要です。

  • 自己資本の額が500万円以上であること
  • 500万円以上の資金を調達する能力を有すること

②特定建設業の許可を受ける場合、次のすべてに

 該当する事が必要です。

  • 欠損の額が資本金の額の20%を超えていないこと
  • 流動比率が75%以上であること
  • 資本金の額が2000万円以上であり、かつ自己資本の額が4000万円以上であること

(4)その他

①誠実性を有する。

 法人である場合には、その法人、役員、支店、又は営業所の代表者が、個人である場合には、本人又は支配人が、請負契約に関し誠実であること

 

②許可を受けようとする者が、欠格事項に該当

 しないこと。


5.各種変更届


許可を受けた後に、商号又は名称、営業所の名称及び所在地、資本金、経営業務の管理責任者、専任技術者等に変更があった時、毎事業年度が終了した時などは、変更届出書を許可行政庁に提出する必要があります。

6.公共工事参入のために


公共工事の一般競争入札又は指名競争入札(随意契約を含む)に参加するためには、官公庁に名簿登録される必要があります。そして、この名簿登録のためには、経営事項審査(経審)、入札参加資格審査申請といった手続きを経る必要があります。